___ 1989年 Prince Viola


皇太子殿下にお作りしたヴィオラ

1984年、皇太子殿下がまだ浩の宮様といわれていたとき
クレモナをご訪問になり光栄にもぼくがご案内役をさせていただいた。
厳重な警戒であったがぼくは宮様と一緒に並んで歩き
ずいぶん多くのお話をしたのであるが
その時当然ながらヴィオラのお話に力が入った。
ヴィオラは非常に興味がある楽器であるが
製作は大変難しいもので4弦のバランスがよく、力強く、
優雅でそしてウォルフトーンがでないというヴィオラを作ることは
至難の業であることを申しあげたが宮様はこのことをよくご存じで、
宮様はそれほど苦労している石井さんのヴィオラを
弾いて見たいものとのお言葉。
製作の開始が1989年で東宮御所にお持ちしたのが
1998年と約10年も後にお約束をはたしたのだった。

ニスをかなり色濃く塗ってあるのは2,300年後の経年変化で
ちょうど良い色調になるのを考えたからである。
その後東宮侍従からクレモナにお電話があり
現在大変ご愛用なさっていらっしゃるとのこと。
ぼくとしてはこれほどの喜びはない。
なお東宮御所からは献上という言葉は国家が関わることであり
ぼくのヴィオラのお渡しは非常に珍しいケースで
正確に言うと献上という事項ではないので
その言葉は使わない方が望ましいとのお達しだった。
したがってお預かりということでぼくが皇太子殿下に
ヴィオラをお貸ししているということである。
なんと嬉しく名誉なことだろうか。

なおぼくはこのヴィオラのことを以上書いた程度には
皆さんにお知らせするのは許されているが
公に大きく宣伝することを全く考えていない。
したがってお見せできるような写真をしっかり撮らなかった。
製作過程の写真は多くあるが完成したヴィオラの写真は
ここにご紹介するもののみである。

お渡しする日の記念写真はカメラの持ち合わせがなく
誰かの携帯写真で撮ったこの一枚だけ。

クレモナ地方紙“ La Provincia”紙掲載の写真は
専属カメラマンFaliva氏の撮影。
ヴァイオリン製作学校内にて。

1、    後ろ正面は当時のイタリア・ミラノ総領事 田辺健氏。
右はヴァイオリン製作学校長 Renzi氏。

2、    校内展示室にて。
この頃にはヴィオラ製作意欲が沸いていた。